日時:平成24年10月11日(木)18:30開演 場所:東京藝術大学奏楽堂
東京藝術大学音楽学部邦楽科は、長唄、三味線音楽、箏曲、能楽、邦楽囃子、尺八、日本舞踊、雅楽の専攻があります。平成14年に始まった邦楽科が企画する和楽の美シリーズは、こうした様々なジャンルが共存する藝大という環境を生かし、邦楽科ばかりでなく音楽学部の他科(西洋音楽)や、美術学部の教員、学生と協力して新しい邦楽の舞台作品の創作および上演を試みています。
平成24年は、22年から始まった孫悟空を主人公とするオリジナルストーリー、三回シリーズの最終回です。第一回は、天竺を目指していたはずの孫悟空が予想外で奈良に落ちてしまい、奈良をテーマとする曲を中心に舞台が繰り広げられました。第二回は、再び天竺を目指した孫悟空が今度は韓国に落ちてしまい、韓国で民衆の暮らしを脅かす魔王と闘って、音楽で魔王を懲らしめることができました。
今年度の第三回「悟空と九尾の狐」では、いよいよ孫悟空が中国に無事に到着します。本年も引き続き脚本・演出は中村雅之氏、美術監修・デザインは本学美術学部の藪内佐斗司教授です。本学の教員、学生による演奏に加え、せんとくんで親しまれた「平成伎楽団」の現代的なパフォーマンスが楽しめます。
今年度の大きなテーマは、ルーツに共通点をもつ日本と中国の伝統芸術が、国や時代の壁を超え、現代に生きる伝統芸術として演じられる舞台を制作することです。中国の伝統楽器である胡弓(二胡)や古箏の奏者をゲストにお迎えすることを予定しており、中国と日本の伝統音楽のコラボレーションを行うことを企画しております。
美術や伝統音楽、舞踊などの専門家たちの自由な発想によって繰り広げられる和楽の美の舞台は、伝統音楽の各ジャンルの典型的な舞台面のみに縛られることはありません。コンピュータグラフィックが用いられたり、あるいは美術学部ならではの最高の技術で、あっと驚くような舞台面が披露されたりするのも、和楽の美の楽しみのひとつです。伝統邦楽に詳しい方々にはもちろん、伝統に馴染みの薄い方々にも同様に充分御満足いただけるような舞台を制作いたします。幅広い年齢層の方々にとって楽しく、分かりやすく、親しみやすく、かつ本格的な、これからを生きる伝統芸能を知っていただける絶好の機会となることと思います。ぜひ楽しみにご来場下さい。(制作統括:萩岡松韻)
※写真は前回の内容です。