この度、藝大フレンズの皆様のご支援のもと「大吉原展」を2024年3月26日(火)から5月19日(日)まで開催いたしました。
本展は江戸の吉原に関する美術作品を多数集め、吉原文化を紹介した展覧会です。
幕府が唯一公認した吉原遊廓では別格のしきたりや伝統がありました。その時だけ桜の樹を植える春の花見はその一つです。アメリカから里帰りした歌麿の大作《吉原の花》は、あえて女性たちだけの花見の宴を描いた作品です。実際の光景ではありませんが、虚構で飾られた吉原の姿を描いた象徴的な作品として広報に採用しました。
「悪所」と呼ばれた通り吉原には負の遺産として受け止めなければならない部分がありますが、同時にそこにはアート(人工/芸術)の場としての遺産がありました。それを物語る美術作品に目を向けることによって、改めて吉原について学ぶ機会となりました。9万人近い来場者のなかで若い年代層が多く含まれていたことは幸いでした。
今回ご助成いただきました賛助金は、吉原雀演奏会実施費用ならびに本展図録の買取費用に充てさせていただきました。音楽学部邦楽科による長唄吉原雀の演奏会は会期中2回、美術館内で実施されました。展覧会に訪れた方々に直接、古典芸能の音色をとどけることが出来、大盛況のうちに終了しました。図録は228件の出品作品の掲載に加えて、地図やコラムなどを加えた構成で300ページを超える大部な仕様となりました。吉原文化について知ることのできる図録として観覧者の関心を集め、幸いにも完売することができました。
藝大フレンズの皆様よりご助成いただきました賛助金により、展覧会事業の質を格段に向上させることができました。皆様には心より御礼申し上げますとともに、今後ともご支援賜りますようお願い申し上げます。
東京藝術大学大学美術館一同