この度、Art & New Ecology 実行委員会と東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科では、5月28 日(土)より、東京藝術大学大学美術館および The 5th Floor において「新しいエコロジーとアート」展を開催いたしました。
本企画におきまして、助成いただいた藝大フレンズの皆さまに、心より感謝申し上げます。
本企画は、本展覧会のために東京藝術大学の教員を中心に立ち上げた Art & New Ecology 実行委員会と、東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科によって開催され、実行委員会代表であり、同研究科教授である長谷川祐子の退任記念展でもあります。
「新しいエコロジーとアート」をテーマに、現代におけるアーティスト、研究者らの取り組みの両面から、 エコロジカルな芸術実践に光をあてる展覧会です。「人新世」(人間の活動が自然に大きくおよび、地球環境を変化させてしまった時代)にあって、人間中心主義や過度な資本主義によって、環境が持続不可能の危機にさらされています。 この状況にあって、アーティストたちは、私たちをとりまく「新しいエコロジー(社会や精神的環境も含めた総合的な環境)」を調査、観察し、新しい美学を通して、人々に伝える媒介、翻訳者となる役割を担っています。
アートは、Sensory Learning(感覚を通した学び)によって、見る者の身体、意識や感性に働きかける「ミクロ」な視座と、データや情報証拠に基づいて私たちの世界を取り巻くリアリティを可視化する「マクロ」な視座を提示することで、私たちの生き方や考え方に影響を与えていきます。これからのアートは、分断された私たちを「共感」でつなぎ、動物や植物、モノなどを含む脱人間中心的な、複数のヒューマニティの可能性をさぐるものとなります。
そしてこの展覧会は、ポストコロナの時代に新しい考え方、生き方を模索する私たちに差し出されたコンパスのように、さまざまな指標、ヒントをあたえてくれるものとなりました。