藝大フレンズの皆様のご支援を頂き、本事業を開催できましたこと、心より御礼申し上げます。ここに、本事業のご報告をさせていただきます。

【概要】
東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科では、皆様のご支援のもと「2021年度東京藝術大学大学美術館陳列館展『ヴァーチャル・ボディ：メディアにおける存在と不在』」を開催いたしました。
本展覧会は、東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科において、長谷川祐子教授監修のもと、キュレーションを専攻する国際色豊かな学生8名が主体となり、一から展覧会を企画運営しながらキュレーションを学ぶための実践研究です。
刻々と変化し続ける現代の多様な価値観を、キュレーターそれぞれの視点から捉え合わせることで、新たな文脈を提示すること、また、多くの鑑賞者からの様々な反応を得ることで新たな学びを獲得することを目的とし開催しました。
また現在、新型コロナウイルスをめぐり世界情勢が刻一刻と変化しています。本展覧会では、こうした状況に正面から向き合い、国内外で活躍する新気鋭の若手作家12組を紹介する、貴重な機会となりました。ウィズコロナ時代に想定される新しい繋がりや生の在り方、それらの可能性について、多様な視点から考えることのできる機会を創り出すことを目指しました。

【コンセプト】
「ヴァーチャル・ボディ」展は、現代の社会状況に対する強い危機感から立ち上げられた展覧会です。パンデミック3 年目に突入し、全世界において不安定で混乱した状況が続く一方、新たな可能性を秘めた、実験的な表現も生まれています。 本展ではこうした国際社会の情勢を受けて、東アジア、ヨーロッパ、南アメリカ出身の若手作家とその作品を紹介いたします。それぞれの多様な視点から、コロナ禍で急速に普及したデジタルメディアと、私たちのアイデンティティ構築について再考することを目指します。作品はグラフィックスやインスタレーション、オブジェクトアート、参加型教育ワークショップ、写真、映像、テキスタイルなど多岐に渡ります。また制作時期も、2009年のものから現在も継続しているものまで、幅広くご覧いただけます。本展覧会は、私たちの日常生活や教育現場、職場においてテクノロジーの役割がますます増大し、自己の概念や (これは仮説ですが) 身体性に変化を与えているのか検討するものです。
現代社会に出現しつつある身体の可能性とはどのようなものでしょうか。 本展が、最先端の科学技術だけでなく、動物や植物、霊魂など他の生命と私たちの関係に焦 点を当て、想像と対話を育む機会となれば幸いです。

展覧会はすでに終了してしまいましたが、アーカイヴコンテンツを同ウェブサイトよりご覧いただけますので、ぜひご査収くださいますと幸いです。

[web site]　https://virtual-bodies.com

【開催概要】
主催：東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科アートプロデュース専攻
共催：一般財団法人カルチャー・ヴィジョン・ジャパン
助成：藝大フレンズ、公益財団法人野村財団
監修：長谷川祐子（東京藝術大学大学院教授・金沢21世紀美術館館長）
共同キュレーター：アリウェン、平河伴菜、閻喜月、張琳、鄒林希、呉昱衡、 チョ・ヘス、金宣
(東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科アートプロデュース専攻キュレーション領域修士課程在籍生)
特別協力：下向智也、李静文
グラフィックデザイン：邵琪

展覧会チラシ（表）　　デザイン：邵琪

会場風景１F　　セバスチャン・シュメーグ+シルヴィオ・ロルッソ+ロレム《プラットフォーム・ゴースト》

会場風景２F　　（画面左から）魏子涵《動物園を見てまわるのは真面目なことだ》、《野毛山幻像》/カルラ・レイヴァ《マスカラ・エレクトロニカ》/フェリペ・リヴァス・サン・マルティン《Zoom, n°1》/スライム・エンジン《ヘッドラインズ 1》/李舜《インターネットスケッチ-- 1984- 赤い旗がはためく》