本事業では、東京藝術大学が特許を持つスーパークローン文化財の制作技術によって、2001年に破壊されたアフガニスタンのバーミヤンE窟壁画「青の弥勒」を原寸大復元したほか、中国の敦煌研究院の全面的協力のもと、敦煌莫高窟第275窟「弥勒菩薩交脚像」を70%のサイズで復元制作しました。
また、展覧会会場ではこれらの作品を、これまで東京藝術大学がスーパークローン文化財として復元したアフガニスタン・バーミヤン東大仏天井壁画「天翔ける太陽神」、中国・敦煌莫高窟第57窟、日本・法隆寺金堂壁画「弥勒浄土図」と、東京藝術大学大学美術館および平山郁夫シルクロード美術館所蔵の弥勒関連作品、東京藝術大学卒業生による模刻・模写作品などとともに展示し、緊急事態宣言解除後は、担当した専門家たちによる解説を幾度となく精力的に行いました。
スーパークローン文化財技術や4K映像技術などを駆使して、来場者があたかも現地を実際に歩いているような演出を行い、ガンダーラからアフガニスタン、中国を経て奈良に至る弥勒(仏・菩薩)の始まり・伝播・変遷・変化の「弥勒の道」をたどるとともに、危機に瀕している文化財を次世代へ継承する重要性を、世界に向けて発信しました。
さらに、このような展示を通じて、最先端技術による文化財の大規模三次元造作物および公開が、文化財保護の重要性を幅広く且つ内容的にも深くアピールするために、非常に有効であることを示すことができました。
また、緊急事態宣言下での開幕という逆境において、「青の弥勒」を背景にした展覧会会場と中国、パキスタン、平山郁夫シルクロード美術館を結ぶオンライン国際シンポジウム『危機迫るアフガニスタン文化遺産ー「青の弥勒」からのメッセージー』を開催し、東京藝術大学のもつスーパークローン文化財の特許技術とその成果の数々を紹介するともに、シルクロードの要衝アフガニスタンの文化への熱い思いを生配信したほか、ニコニコ美術館での本展の紹介などの動画配信、Twitter、Instagram、YouTubeなどソーシャルメディアによる積極的なPRによって、来場できなかった世界の人々に、本展の意義を広く伝えることもできました。
フレンズ会員のみなさまのご支援に厚く御礼申し上げますとともに、ご来場いただいた方々に重ねて感謝申し上げます。
写真1 展覧会会場入口
写真2 展覧会会場(平山郁夫シルクロード美術館所蔵作品など)
写真3 バーミヤンE窟仏龕及び天井壁画《青の弥勒》想定復元 ©東京藝術大学
写真4 敦煌莫高窟第275窟 弥勒菩薩交脚像 再現(70%縮小)
©敦煌研究院文物数字化研究所、東京藝術大学