2021年3月30日(火)、『多師彩々-師範科は、生きている-』を藝大奏楽堂にて実施しました。
演奏藝術センターでは、毎年藝大で学ぶ学生たちから、奏楽堂で上演することを前提とした舞台、演奏会、イベントなどの企画を募集し、選考委員によって選ばれた最優秀企画を、奏楽堂で実際に上演するコンペ「奏楽堂企画学内公募」を実施しています。14回目に当たる今回は2019年4月に公募を開始し、10月上旬締め切りました。6件の応募の中から最優秀に選ばれたのが、衣笠詠子さん(音楽研究科博士後期課程)の提案による『多師彩々-師範科は、生きている-』でした。
かつて東京藝術大学の前身である東京音楽学校には、音楽家を養成する「本科」と音楽教師を養成する「師範科」に分かれていました。本企画では、一般になかなか触れる機会の少ない師範科卒業生の作品群に焦点をあて、初演を含む盛りだくさんな内容の公演となりました。またホワイエでは、ご遺族からお借りした自筆譜など、貴重な資料も展示いたしました。
なお本公演は、当初は令和2年3月27日(金)に実施予定でしたが、新型コロナウィルス感染拡大に伴い、奏楽堂での公演は全て中止となってしまったため、一年延期し、令和3年3月30日(火)に延期して実施いたしました。
コロナ感染対策のため、座席数は定員の50%以内という制限が求められる中、一般席については割り当てを大幅に上回る応募があり、抽選で絞らざるを得ない状況となりました。埋もれつつある歴史に光を当てる企画であり、感動で涙を流すお客様も見受けられました。延期期間も含め、企画学生にとっては一年半越しでの公演開催となりましたが、事前の準備、演奏藝術センターとの連携ともに素晴らしく、大変見応えのある公演となりました。
藝大フレンズの皆様からいただいた賛助金は、チラシの印刷代として使わせていただきました。コロナ禍が原因とはいえ、当初の予定より一年延期しての実施にも関わらず、柔軟に賛助金の運用を認めてくださった皆様に心より感謝申し上げます。今後ともご指導、ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
東京藝術大学 演奏藝術センター
楠田健太