音楽学部大学史史料室では、藝祭2019(令和元年9月6日から8日)の3日間、音楽学部2号館1階の大学史史料室にて、企画展示「藝祭2019 大学史史料室特別公開――アーカイブズに息づく「ひと」「こと」「もの」」を開催することができました。藝大フレンズの助成をいただいて制作された「音楽取調掛と東京音楽学校の外国人教師たち」の2枚組の英文併記の大型パネル2枚をお披露目することができました。
皆様のご支援に厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。
歴代外国人教師は、日本近現代音楽史を語るうえで必須の方々で、『東京芸術大学百年史』(1987〜2004年刊行 音楽篇全6巻)にも各種史料が掲載されています。しかし、どの時代に、どの国から着任されたのか、何を教えてくださったのか、全体を俯瞰することはできませんでした。インターネットが普及するに及んで、あらたな情報も入手することができるようになりましたので、「百年史」以後の情報も反映し、なおかつ日本語と英語を併記したパネルを制作したいと考え、藝大フレンズのご支援をお願いした次第です。音楽取調掛と東京音楽学校の外国人教師43名について大学史史料室スタッフが手分けして再調査を行い、大型パネル2枚にまとめました。隣接した同じく官立専門学校であった東京美術学校の外国人教師は最初期のアーネスト・フェノロサのみでしたから、外国人教師のあり方からも両校の歴史や特徴の一端が見えてきそうです。
約70年間の外国人教師を一覧できるようにしたことで、初期の外国人教師が、一人で多方面の教育事業を引き受けた様子も見えてきました。その筆頭が音楽取調掛に初めて招聘されたアメリカ人、L.W.メーソンです。彼は和声学、ピアノ、オルガン、ヴァイオリン、管弦楽指導、『小学唱歌集』編纂、ピアノの調律、オルガン試作など、西洋音楽にかかわることを全般的に指導しました。人によって情報の多寡に差があり、生没年の不明な方もいらっしゃいます。今後はWeb上の掲載に向け、準備を進めて参ります。パネルでは字数制限の関係で割愛した情報もありましたので、Web上ではもう少し詳細な情報を公開し、国内外の関連研究の促進と活発化につなげる計画です。
藝祭3日目は大型台風の接近により早めに終了し、把握できた来場者数は603名でした。藝祭展示のリピーターも増え、展示をご覧になってスタッフにご教示くださる方、史料を持参してご寄贈くださる方もいらっしゃいました。外国人教師のパネルの前では、年代順にゆっくりご覧になる方も多く、パネルを制作できたのは、本当に有難いことです。
藝大フレンズの皆さまに心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。