第64回 藝大オペラ定期公演《魔笛》を終えて
■ 経済的支援への感謝について
総合舞台芸術であるオペラ公演には、事実多大な経費がかかります。昨今のオペラ界を見渡しましても、本学の様にあるレヴェルを保って毎年定期公演を開催できることは、教育上ならびに社会への還元という大学に課せられた役割からも、大いに意義深いことです。これは、藝大フレンズをはじめとする大学内外の大きなご理解・ご協力の賜物であり、心から感謝申し上げる次第です。
■ オペラの制作課程について
前年度秋の定期公演が終了した後、次年度の公演日程と出演者の中核となる大学院2年生の各声種等を鑑み曲目を決定します。指揮者・演出家をほぼ同時期に選考依頼し、ダブルキャスト成立のために助演の先生方の配役も決定しております。授業(稽古)日程及び予算計画に従い、4月から通常授業内(週3日)での音楽稽古がスタート、6月からは立ち稽古を開始し7月下旬まで行います。夏休み後、8月後半には本番会場である奏楽堂で5日間の夏期集中稽古、9月の立ち稽古、オーケストラ合わせ等を経て奏楽堂舞台での総稽古を行い10/6・7の公演を迎えております。
広報・寄付協賛等の支援者募集や印刷関係については、7月の入場券発売日に合わせて、上記授業の進行と平行して行っております。そして演出家を交えた舞台装置・衣裳・照明関係のスタッフ打ち合わせ等も稽古(授業)と平行して行い、各業者との予算のすりあわせ等を経て、公演の一週間前からは奏楽堂舞台での作業となっております。
■ 公演の成果などについて
歌手(出演学生たち)は、オペラ全曲を集中して稽古し本番を経験することで歌唱・演技表現の深みが増すものです。今回も助演の先生方、そして藝大フィルとの共演によってキャストの大学院生たちも完成度の高い公演を創り出しました。指導にあたった先生方、裏を支えた下級生たちの尽力は多大で、藝大オペラそのものが小社会を形成しております。これら一連の長期に亘る経験は、人材育成という面でも大いに成果があったと自負しております。合唱として参加した学部3年生も、今後の学習・研究にとって大いに価値ある経験となったはずです。
◆10月6日出演者によるゲネプロ
上から:第1幕 夜の女王登場シーン、フィナーレ、カーテンコール
◆10月7日出演者によるゲネプロ