平成29年6月吉日
藝大フレンズ会員の皆様へ
―「研究報告発表展2017」会期終了のご報告―
東京藝術大学大学院美術研究科
文化財保存学専攻保存修復彫刻研究室
今年も当研究室では、皆様方のご支援により「研究報告発表展」を無事終えることができました。本年は、会期5日間で延べ2140名以上の方々にご来場頂き、私共の研究成果をご覧いただくことができました。
会場は昨年に引き続き正木記念館2階の和室となり、14点の修復・模刻制作研究などの展示を行いました。
そのうち、大間稲荷神社天妃像は、日本に遺るわずか数十例の古媽祖像のうちの1つであり、その中でも最北端に位置する貴重な作例です。彩色層の劣化が進んでいましたが、1年間修復に取り組むことで美しい姿を取り戻しました。普段は一切拝観することのできないお像ですが、今回特別に公開させて頂くことができました。
また、長福寺千手観音菩薩坐像は大変美しい顔立ちのお像ですが、脇手や持物の多くを失っていました。虫蝕も著しく、崩壊寸前の部材もありましたが、地道な修復作業の結果今回公開することができました。
これら諸研究の発表の一環として、4月22日(土)に行った口頭発表会(中央棟第一講義室)も大変盛況となり、多くの皆様にご清聴頂きました。このような盛会となりましたのも、フレンズ会員皆様のお力添えあってこそのものであり、研究室一同、皆様のご支援に心より御礼申し上げます。
今後とも彫刻文化財の保存修復・研究に貢献できるよう、なお一層の精進をして参る所存です。
皆様の変わらぬご厚誼を賜りますよう、ここに改めてお願い申し上げます。
写真:上から口頭発表会(中央棟第1講義室)、展示会場(正木記念館2階)、展覧会チラシ