平成28年5月吉日
藝大フレンズ会員の皆様へ
―平成27年度「研究報告発表展」会期終了のご報告―
東京藝術大学大学院美術研究科
文化財保存学専攻保存修復彫刻研究室
今年も当研究室では、皆様方のご支援により「研究報告発表展」を無事終えることができました。本年は、会期5日間で延べ2500名以上の方々にご来場頂き、私共の研究成果をご覧いただくことができました。
今回は、正木記念館2階にある和室での展示という初めての試みとなり、10点以上の修復・模刻制作研究などの作品展示を行いました。
そのうち、兵庫県養父市木造薬師如来坐像は、平安時代後期に制作された大変貴重な作例ですが、虫蝕や焼損が著しく、また後世の拙劣な修理により尊容を大きく損ねていました。樹脂による含浸強化や欠損箇所の新補など、1年間修復に取り組み、今回公開することができました。
また善光寺三宝荒神・三面大黒天立像は現在同寺仁王門に安置される巨像の雛形とみられるもので、高村光雲・米原雲海の作であることが確認されており、近代彫刻史研究のうえでも重要な作例です。
これら諸研究の発表の一環として、4月23日(土)に行った口頭発表会(中央棟)も大変盛況となり、多くの皆様にご清聴頂きました。このような盛会となりましたのも、フレンズ会員皆様のお力添えあってこそのものであり、研究室一同、皆様のご支援に心より御礼申し上げます。
今後とも彫刻文化財の保存修復・研究に貢献できるよう、なお一層の精進をして参る所存です。
皆様の変わらぬご厚誼を賜りますよう、ここに改めてお願い申し上げます。
作品展示会場の様子(正木記念館にて)
口頭発表会の様子(中央棟にて)
※上記2枚の画像はクリックしていただくと拡大してご覧いただけます。