日時:2012年7月7日(土) 15:00開演
会場:東京藝術大学奏楽堂
入場者数:251名
「藝大とあそぼう」は2004年以来毎年開催されている、子どもたちとその親を対象としたファミリーコンサートです。毎回、子どもたちに興味を持ってもらえるよう様々な工夫を凝らしていますが、今回はあえて「現代音楽」をテーマに取り上げました。「現代音楽」は"難しい""とっつきにくい"といった理由で敬遠されがちですが、先入観なしで接してみれば、意外な面白さを発見できるかもしれないと考え、このコンサートを企画しました。
今年2012年はアメリカの作曲家、ジョン・ケージの生誕100年、没後20年の記念の年に当たることから、彼の作品を中心にやはり没後20年のフランスの作曲家、オリヴィエ・メシアンの作品で、次のようなプログラムを構成しました。
ジョン・ケージ 《ファースト・コンストラクション・イン・メタル》
ジョン・ケージ 《4分33秒》
オリヴィエ・メシアン 《鳥の小スケッチ》より〈ひばり〉
オリヴィエ・メシアン 《七つの俳諧》より第6楽章〈軽井沢の鳥たち〉
手術室のピアノ - プリペアード・ピアノのできるまで(尺八本曲「鹿の遠音」同時演奏)
ジョン・ケージ 《プリペアード・ピアノと室内管弦楽のための協奏曲》より
ケージの《ファースト・コンストラクション》は刺激的なサウンドに満ちた打楽器アンサンブルの曲。そして《4分33秒》は演奏者が音を発しないというコンセプトで、音楽界に衝撃を与えた伝説的な曲です。一方、メシアンの作品はいずれも自然の鳥の声を採譜して、それで音楽を構成するといったユニークな作曲法に基づいています。そしてこの日の目玉となるのが、ケージの《プリペアード・ピアノと室内管弦楽のための協奏曲》でした。
「プリペアード・ピアノ」はケージが考案したもので、ピアノの弦の間にボルトやゴムなどの異物をはさんで、音色を全く変えてしまう特殊なピアノのことです。今回はピアノにいろいろなものをはさむ作業(プリパレーションと言います)そのものを、カメラで撮影してスクリーンに映写するということをしました。「手術室のピアノ」というのは、その作業がまるでピアノを手術しているかのように見えるからです。聴衆の感想の中には「ピアノがかわいそう」というものもありましたが、「面白かった」という反応もあり、その意味で「現代音楽」に対する"食わず嫌い"の一部は解消されたのではないでしょうか。
東京藝術大学演奏藝術センター 大石 泰
手術室のピアノ
プリペアード・ピアノと室内管弦楽のための協奏曲
ファースト・コンストラクション
4'33"